「この素晴らしい世界に祝福を!」1期全話(10話プラス1話)を見た♪
こんなに私の「今こういうのを楽しみたい」というニーズに合った作品だとは思っていなかった。
楽しい♪。
遅ればせの感想ながら、2016年初春の放送時には(リアルタイムでは)スルーしていたのだ。
この素晴らしい世界に祝福を!。このOPのノリがもう、作品イメージを体現している。ひょんな(不幸な)事故で、若くして死んだ主人公、右、佐藤和真(サトウ カズマ)。「死後の世界の入り口的な審問席」に座る。
そこで「生まれ変わり」と「天国」との二者択一のほかに、「異世界での冒険」を女神様アクア(左)に持ちかけられる。(ご褒美もあるらしい。)
割とルーティーンな導入部と展開ではあるが、キャラクターの演出が洒脱だった。
絵柄的に「崩れる」デフォルメ感がハンパない(笑)。
女神アクアのキャラクターが、可愛いほどに「野卑」で「俗物」なのだ。(女神なのに、やや滑稽な死因の主人公を小馬鹿にしちゃったりするから・・・)
いろいろな流れがあって(主人公の怒りを買って、ヒロイン=女神が墓穴を掘った感じという所なのだけど)異世界に一緒に放り込まれる。その時のリアクションがこれ↓
「第三の選択肢」なら「お望みのアイテムを持っていける」という条件に、自分が巻き込まれてしまった女神様。(お尻の表現がとにかくいい♪)
もっともこの女神様、性根が俗物なので、カッコつけるべきシーンでもすぐに表情が破綻する。
あとは「(ゲーム感覚の)ファンタジー世界」を舞台にしているのに、その世界で生きるために"生活の基盤が肉体労働"から始まってしまう。
手持ち金も冒険装備もなく、「冒険者として」行動する前にひたすら日々の糧のために働かなければならない世知辛さ。
ただ、女神様は「馴れ」が早くて、そんな生活も受け入れて楽しんでしまっている。(下、馬小屋生活のひとコマである。)働いて。食べて。飲んで。騒いで。ゲロ吐いて。寝る。
経験値が初期値からのスタートなので、レベル上げにモンスターと戦っても、下級モンスターにも負ける始末だし。
そんな「パーティ」だから、仲間の募集をかけても、クセのあるキャラクターが第2ヒロインとして仲間入りしてくる。
第1ヒロインのアクアと同様に、一瞬のカッコをつけても「モウ3日モ、ナニモ食ベテナイノレス」となるウィザードのめぐみん。
パーティ募集にかかった第3ヒロインの女剣士ダクネスも一見は長身の美少女。
ところが、
目がヤバイ、「どM(エム)」が本性なダメ・キャラ♪。(この作品においては、むしろ、それが視聴者的には"魅力"にしか見えなくなるから不思議だ。)
まぁ、以上が3話くらいまでの導入部的展開だが、その導入部でのキャラ付け、性格付けの披露が、そのままこの作品世界の真骨頂になっている。
中盤、舞台になっている「駆け出し冒険者たちの町」においても、いろいろなファンタジー世界の、変化球的なイベントがあるし、例えば下の画像のデュラハン(首なし騎士)も、モンスター幹部として堂々たる登場はするし、オチもあるのだが、
今回のレポートでは詳細は割愛(笑)。
あっと言う間に第8話まで一気に見てしまって、
本作の最高潮的エピソード回は、『第9話』のサキュバスの話がそうだったと、私は言い切ってしまえる。
(魔王軍幹部デュラハン・ベルディアとの決着、古代の最終破壊兵器デストロイヤーとの最終話決戦等々、もちろん、シリーズの流れとしての押さえどころはバッチリなのだが。)
それでも、あえて、「お色気回」が見事だった。
「駆け出し冒険者の町」にある、男性陣たちの癒しの秘密クラブ。
サキュバス(淫魔)たちの経営する路地裏の店。
そこは男性のパラダイスであった。
対価は金品ではなく、男性の精気を頂戴すること(生活にも冒険にも差し障りのない程度の量)だけなので、まぁ、男にその気があれば誰にでも利用ができる。
店内の淫魔ホステスたちの見た目からして、もう熱烈なサービスぶりだ。
きっと、元気な若者の精気ほど淫魔にはご馳走なのだろうが、「精気」に美味さのランクはあっても、たぶん美醜の差別はなかろうから、利用する側の男にも気おくれがいらない。
お尻も胸も誘ってます。
和真(カズマ)の担当になった、こちらのサキュバス嬢など、絵的にもすでにストライク。声優は三石琴乃さんである。(「エヴァの葛城ミサト」だ。もう結構なキャリアだが、色気たっぷり。)
この受付お嬢様が直に何かしてくれるわけではなく、
あくまでも客のアンケート(リクエスト)に応えた「(睡眠中の)淫夢」をサービスしてくれるのである。
「大丈夫なんですか?、いろいろと?。」
「えっと、そのォ、肖像権とか。・・・条例とか・・・。」
「大丈夫です♪」「マジです♪」「・・・だって、"夢"ですもの♪」。「ですよね~♪」。
いやはや、その「夢」を「淫夢」として、客の望み通りの内容にコントロール出来る魔性のワザこそがすごいのだが。
これって、現実世界にマジで欲しいくらいのクラブであり、システムである。
もちろん、女性用にホストラブによる「淫魔サービス」があれば、女性からもニーズはあるだろう。
(ここでは「男性冒険者たち」と「淫魔」たちとの内緒の共存共栄となっているが。)
あ~、あと、このアニメでは「飲んで」「食べて」「楽しく喋る」というような描写がまことに多かった。(これって実は大切。ちなみにいつの間にか馬小屋生活から「お屋敷」暮らしになっています。)
上の画面で和真は飲酒をこらえる。
泥酔・熟睡してしまっては、レム睡眠で見せるべき「淫夢サービス」が出来なくなるから、とサキュバス姉さんに念をおされていたからだ。
でも、疲れもあって、入浴中に寝入ってしまう。
ここで、浴場に先客はいないと思ってあとから入ってきたダクネスとバッタリ。
(「そーか、これがサキュバスの夢か。」)と勘違いした和真は堂々たるもの。
仰天したダクネスはその場に(せめて自分の裸身の前側を隠すように)しゃがみ込む。
夢の中のサービスだと思ってだだをこねる和真。(視聴者的にはすでにここ、夢ではなくリアルに進行中のハプニングだとよくわかる♪)
和真の強引な淫らさに気圧されて、もともと「M属性の強い」ダクネス嬢は逆らいきれずに言いなりに・・・。
背中洗いを、タオル越しではなく、"体を使って直接やりなさい"という要求にまで従いかけるダクネス。(躊躇いながらも顔はコーフンしている。M嬢なので♪)
が、「疑似・夢の宴」もここまで。
(そもそも、この入浴シーンは描写的な配慮で、全編、灯火消しの薄暗さとソフトフォーカスでボカされていた。)
じつは浴室に来ていないアクアやめぐみんたちによって、「派遣サキュバスちゃん」が(魔法陣的な)罠に捕獲されていた。
男性冒険者たちと秘密裏に共存していた「サキュバス・クラブ」も、経営陣はやはり"魔物"。
アクアたちには、退治すべき対象でしかない。
「ひっ」と怯えるサキュバスちゃん。(店で会ったお姉さんと違って、華奢な新人である。)
それに、「潜入できなかった未熟な私が悪いんです。お客さんに恥はかかせるわけにはいきません。私は退治されますから。」と言う客をかばう覚悟がいじらしい。和真、ここは思わず「魔物」を守る。
その和真の行動にキレるヒロインたち。
いや、もう、このシリーズでいつものことだけど、ヒロインがしちゃいけない「顔」です(笑)。
ダクネスやめぐみんの臨戦態勢のカオはまだマシ。
ここら辺の、たっぷり尺を取ったやりとりは笑うしかない。
左端アクアだけ、カオひどい。
「シャオォォ~!」とか妙な掛け声で和真がとびかかる。
サキュバスちゃんは無事に逃げ出せた。(代わりに和真は袋叩きだった。)
「このすば!」
エンディングの牧歌調でテンポの良い歌がなんとも、これまた良い。(ヒロイン声優's の歌唱である。)
今やってる第2期では、このエンディングソングが、完全に
松山千春の「大空と大地の中で」のパロディ・ソングになっている♪(笑)。
第1期の本作品は、テレビ放映分の10話とOVAの11話目との全11話構成となっているが、どうも全話を通して見ていても途中に出てくる「リッチー(ウィズ)」のエピソードとか、1話分、ごそっと抜けている感じがする。
ちなみにダクネス役の声優・茅野愛衣さんが「ガールズ&パンツァー」の武部沙織 役と同じ人とは思えないくらいハマっている。
(鳴き声程度しか発しない、めぐみんの黒猫ペット「ちょむすけ」に声優・生天目仁美さんがクレジットされているのも意外。・・・将来的に化けて流暢に人語を喋りだすのだろうか。)
※【補足】上の声優・生天目仁美さんの件に関しては後から気が付いたが、1期の10話、及び2期に登場している王国検察官セナ(女性検察官)をやっていたんだ。てか、そっちが本命で黒猫の鳴き声は"ついで"だったんだろう。
めぐみんのライバル紅魔族としてゆんゆん役の声優・豊崎愛生さん(「けいおん!」の唯ちゃんとか、「とある科学の~」初春とか)など、先述の受付サキュバスに三石琴乃さん等々、さらりと中堅どころ、ベテランの人気声優がキャスティングされてるのがなんとも豪華で楽しい。
ともあれ、「サキュバスのお店」ですか。 本当に現実世界にそんなものがあったら、性犯罪の抑止にも、(性欲的な意味での)健常者が持てあますエネルギーのガス抜きにもなってまことに結構だが、誰もリアルな恋愛や結婚をしなくなっちゃうだろうなぁ。
どうこう言っても、「家庭」や「子供」を持つ、育てるみたいな方向性ではなく、あくまでも「プレイとしての性遊戯」がお店の売りなんだろうから、子孫を残す本能や活力さえ失わなければ現実に対しての問題はなかろう。
逆に言えば、これだけに満足しちゃったら「(人としては)詰み」ではある。
が、現実には"すでに詰んでしまっている人"って少なくないのだから、こんな「サキュバス・クラブ」あったほうが"救い"になるような気もする。
いや、あるといいなぁ。 暴論だが、アニメにしても、コミックスにしても、(当然、ラノベも)確実にそこそこの一定の割合では、そういう「サキュバス・クラブ」的な福音要素もはらんでいるから、これまた一定層にはより深く愛されているのではなかろうか。
本音を言えば、それが言い過ぎだとも思えない。
また悪いことだとも思わない。
エンタメ側としても、ある種、そこまでいけたら本懐なところもある。
とはいえ、リアルな自分たちの「思い出」とリンクして"泣かせてくれる"シーンもあるのが、エンタメの凄さだ。
泣かせてくれる作品も、
笑わせてくれ作品も、
お色気な作品でさえも、
みんな愛されていいんじゃないかな。