とっちらかった寿司の折詰め

閲覧者様からコメント欄への書き込みで、素朴なご質問がありました。
 
「絵」を描くときに、「美術の時間みたいに・・・、モデルさんとかいるのかなって?」というような主旨の内容でした。
 
人物に限らず、絵にするとき、なんだか誤魔化せない種類のものや、適当に描くとヘンな描写になりそうなものは、なるほど「資料」が必要になります。
 
空母や戦闘機、国会議事堂を描くとか、グランドピアノやオーボエという楽器を正確に描くとかね。 
 
人物にしても、スポーツのあれこれ、または男の立場から、女性の何気ない仕草や姿勢を「絵」として切り取るのには観察が必要です。

ユニークな1例をあげると、漫画家ではなくて、これはアニメーターの話なんだけど。
とあるアニメーターが「落として、中身がぐちゃぐちゃになった寿司の折詰め」を、製作中の作品場面の必要性から絵で描きたいという時。
本当に折詰めを買ってきて、わざわざ床に落として、箱の中で「ぐちゃ」と寄った、寿司メシやネタがとっちらかっている状態をスケッチしたという「こぼれ話」がありました。

そもそも、ここは男女の言い争いのシーンだった。
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女性の手からハタかれた「折詰め」が卓上に飛び、中を開けると「グッチャリ」。
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女性の手が、しどけなくネタの海老を拾い、
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シャリの上に乗せ直して、
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つまみ上げる。(で、口に運んで食べていた。)
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これくらいのシーン、「寿司のチラシ広告」でも参考にすれば、あとは想像でも描けるでしょ?、と思えるシーンだが、そこではたと腕組みをして、本当に寿司を買ってきたアニメーターの探求心は偉い。
 
他にも人間の腕や指の仕草は、動画ではなかなかに難題で、男女が手をからめてるシーンを製作工房のスタジオの中で、協力してくれる女性モデルがいないときは、男同士が手をからめているのをもう一人がスケッチして、あとは想像力で男女の絵にするという事をやってたらしいです。
 
日常の生活の描写ほど「観察」は必要なんですよ。
漫画でもアニメでも同じ。(動画は、より妥協が許されない。・・・いや、妥協しているアニメが多いけど。)
 
テーブルと椅子があって、椅子を引いて座って、食卓に着く。
そして、テーブルと人の距離や、食卓の上の食事、食器に人が手を添えて食事をする動作の自然な描写。
 
ドラマは人の会話やストーリーの進行に興味を向かわせなければならないから、日常生活のこうした食卓の動作は自然に描けているほど、実は見逃されていきます。
それは、絵描きや原画家、動画家が『良い仕事』をしているからで、下手っぴが観察もリアリティも度外視して適当な作業をやらかすと、もう見ていて「とてつもなく気持ちの悪い動作や絵」にひっかかって、セリフやストーリーが楽しめません。
 
だけどね。
 
現実には、漫画やアニメで、食卓の風景や靴を履いたり脱いだりする動作を適当に描かれがち。(そんな描写に触れさえしない作品の方が多い。)
「視聴者が喜んで見てくれる場面でも、感心してくれる場面でもない。」というのが演出家の理屈だと思えるが、単にそんな事に興味が至らない演出家や、「描写出来ない」絵描きが多いのだと思います。
 
アクロバティックな描写が出来る。
人の日常の動作を難なく描ける。
 
両方が出来ている作品は、漫画でもアニメでも気持が良いものです。
 
さて、次回は上の画像に登場した「とっちらかった寿司の折詰め」シーンが描かれていた、名作『アニメ』のレビュー予定です。
(※上の画像だけでも、何のアニメか分かった人は、ディープなマニア。もしくは私と気が合う人。)
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インターネット広告の「トランスメディア」提供スキンアイコン by PINKNUT_INC | 2008-07-17 00:16 | Comments(18)

Commented by inakajazz at 2008-07-17 05:00
すいません・・・
この・・アニメ。。。
えっと・・・たしか・・・
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-17 06:00
inakajazz 様
いえいえ、分からなくてあたりまえ。
ただ、分かる人がきっとアニメ・マニアの中にはいるから侮れないのですよね。(「カルトQ」みたい。)
私のブログでは、前後の関連性がなく、「アニメ・レビュー」をやっていますので。(たまに関連性がある時もある。)
しかも、タイムリーではない数年前の作品を持ってきたりしていますから。
ブログの更新にご注目いただければ幸いです。
Commented by inakajazz at 2008-07-17 06:43
さすが・・原口さま
こちらのつっこみを・・なんなく・・かわして・・いたた゜きました。惜敗でございます
Commented by アニメ・マスター at 2008-07-17 07:44 x
まさに「アニメ・カルトクイズ」ですね。私にも出典が分かりません。
Commented by cyah at 2008-07-17 07:50 x
m&o 様
「スタジオジブリ」と「萌え」について、個人的な見解を記事にしてUPしましたので、遊びに来ませんか?(ハンドルネームをクリックすると当ブログにジャンプするはずです。7月17日の記事です。)
Commented at 2008-07-17 07:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-07-17 09:05
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by cyah at 2008-07-17 22:07 x
支店のカウンタ555を踏みました。なんかキリ番ぞろ目と相性がいいみたいです。
Commented by m&o at 2008-07-18 04:36 x
「カルトQ」的な映像クイズ面白そうに思えたんで、、、ちょと答えてみます、この寿司シーン「おもひで、ぽろぽろ」でないでしょうか?
私のおぼろげな記憶だと、お寿司で揉めるシーンあったようなのが微かにあるのですが、、、ちなみに私は、アニメマニアという枠組みからかけ離れてるんで間違ってる可能性の方が大きいですけれど、笑
今は、どちらかと言うと実写作品を、より多く見ていますので


日常の観察と言えば、、、最近のアニメって人の表情が出てないよなぁ~と思える事が多々ありますね、まぁ~キャラが可愛いければ気にもしないし構わない事かも知れませんけれどね(^^;
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-18 06:03
inakajazz 様
あはは、なんとご回答すれば良かったのでしょうか♪。
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-18 06:05
アニメ・マスター 様
出展もとを明かせば「なぁんだ。それなら予測出来た。」という回答編は間もなく更新予定です。
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-18 06:06
cyah 様
私もブログに立ち寄らせていただき閲覧させてもらいました。
なるほど、面白いなぁ。その見解。
(当方ブログでは、お題に対する「肯定的盛り上げ専用サイト」ということで(笑)。)
 
私個人は、現場のスタッフが「努力して作り上げたもの」に敬意をはらっています。
全てのクリエイターや作品に対してです。
~逆に、努力することや、悩むことを放棄した現場に対しては、「困ったな」と思います。
 
稀に「勢いだけで作ってしまったもの」にもたまに楽しいものはあるからなぁ。侮れないけど。
 
でも、製作現場で「楽な仕事」なんて、なにひとつ有り得ません。 
色々な関門をくぐって、幸せな結果として面白く出来たモノは「面白い!」と、これからも応援したいと思います。
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-18 06:06
非表示コメント 様
いえいえ、こちらでやれないことをやっていただけて♪。
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-18 06:06
inakajazz 様
オーディオの世界は、・・・凄い。
身上(しんしょう)が傾くどころの騒ぎではないなぁ。
実際の音を聴けなくても、画像を見るだけでも眼福、眼福。
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-18 06:15
cyah 様
カウンター踏みマイスター!
「神の踏み技!」(「みなみけ」~「神(噛み)の舌技!」調で。)
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-18 07:07
m&o 様
ご回答に挑戦、有り難うございます。
う~ん、残念。
回答編は次のアニメ・レビュー更新記事にて。
 
「おもひでぽろぽろ」は、高畑勲監督の佳編でしたね。
 
ちなみに私も(たぶん)、アニメの1本を見る百倍以上は劇映画を見ている方だと思います。
描き手は普通、漫画を読む量よりも、書籍や参考資料を読んだり、映像資料を見たりする事の方が圧倒的なウエイトを占めます。(私はまだまだ全然不勉強な方ですが。)
 
アニメーターや演出家は、さらにもっと「映画」や「本」を見て読んでいるでしょう。
ビブリオ・マニアとまではいかなくても、それに近い活字の愛読書家が多いです。
 
それはそうと、
~『キャラが可愛い』(「可愛いキャラ」を描ける)~
これは、至上命題なファクターです(笑)。
Commented by ガンダマン at 2008-07-19 22:39 x
AIRの第7話「ゆめ~dream~」のシーンですね
Commented by PINKNUT_INC at 2008-07-19 23:11
ガンダマン 様
ピンポ~ン♪、 ピンポ~ン♪、ピンポ~ン♪。
大正解です!。
回答編で「アニメ・タイトル」をつまびらかにする予定が、見事にご名答。
と言うことで、次回のレビュー予定作品は、
京都アニメーションの『AIR』です♪。

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