「デアゴスティーニ 1/43 ミレニアムファルコン」の惜しいところ♪
2016年 02月 28日
デアゴスティーニさんの「週刊ミレニアムファルコン」に関しては、おおむね"ヨイショ!記事"を述べてきた。
基本的な大前提として、今回の企画には「賛辞ありき」な立場に揺るぎはない。
で、今回は、
それらを踏まえたうえで「どんなものにも弱点や不満はある」ということにも触れておきたい。
これらは「憶測」や「杞憂」から成り立っている部分もあるので、指摘点に勘違いがあるかもしれないことを断っておきます。
でも、けっこう既出の画像や、先人からの報告から得ている「悲報」ばかりだ。
まず、「デアゴスティーニ 1/43スケール ミレニアムファルコン」は、
『撮影用模型の1/1レプリカ』を謳ってはいるものの、残念なアレンジがいくつかある。
そのひとつは、一連の『ダメージ表現のチープさ』だ。
以下のような画像の箇所である。
ISSUE 58~59号くらいまで刊行されている、海外版「Build the Millennium Falcon」の船体上面の進捗状況がこんな感じ。
丸型レーダーを据える基部が見えるが、その傍のパネルに7個ほどの黒い弾痕が見える。「北斗の拳」の北斗七星みたいなファルコンの有名な「戦歴痕」だ。
遠目には「ああ、キット版でも再現したのか」と感心してたら、アップで見るとオドロク。
敵のビーム砲とか攻撃の弾痕なんだから、焼け焦げた感じを演出するなら、雰囲気的にこう↓でなくてはならない。
ひつこいが、もう一度お見せする。「これは、ダメすぎるだろうww」↓
なんか、これまでの他の"ダメージ痕"を看過できてきた人も、上の↑この造形の"修正"をキッカケにして、結局、全部の"ダメージ痕"を修正、ウェザリング塗装する羽目になってしまいそうだ。(この七つ星などは、線香でそれそれのキズの中央を少し焼いて、すると、土手が焼け跡の周辺に盛り上がるので、さらにリューターでチョチョイと削ると「弾痕~焼け跡」らしくなるようである。分厚いパネルではないので穴を開けてしまわないように注意が必要だし、パテで裏打ちしておくくらいが無難かも。)
そんな「やらないほうがマシな手抜きダメージ造形」のもうひとつ代表的なのがこれ↓である。
これは、すでに日本版のも「5号刊行」でこのままのパーツが提供されてしまったようだ。
にしても、デアゴスティーニ・キット版と実物プロップでは違いすぎる。キット版のはパテ埋めしてきれいにしてしまうか。実物写真を参考に作り直すしかない。再塗装やウェザリングだけでは補いきれない造形的汚点だ。(言い過ぎたなら謝るけど・・・。こんなキズ別につけてくれなくて良かったのにと思う。) 実物プロップ写真↓
それでも、ホント、傷痕ならそれらしくモールドしていただきたいのに、
本来のプロップや「マスターレプリカ社の1/43ファルコン」には、ちゃんと両隣に準じた切り欠き造形がなされているらしいので、「デアゴスティーニ班のチョンボか?」と噂になっています。「切り欠き忘れ」でツルんとした外周があるのなら、かえって修正は容易です。細身の角ヤスリでユーザーが(任意の位置にそれらしく)ゴリゴリ削ればいいだけだから。でもしかし、凹みを作るのではなく、凸形状を作るのは相当厄介です。
こうしたモールドの不自然なところは他にも散見されていて、まぁ、完璧な"レプリカ"であることに固執しないユーザーでも、・・・素人がパーツを組み立てていて「あれ?」と、"不自然さを感じる"造形やモールドはいかがなものかとは思うんですよね。
とはいえ、"規則性がある上でのパーツ配置や形状の違い"があるのが基本なので、割とポイント部分は「左右で一対のデザインになっている」のが前提にはあるのだ。
資料写真に100パーセント忠実な再現にも限界はあるだろうから、スルー出来る物は、スルーで良しとも思えるが、「造形班の明らかなミスや勘違い」が露呈している場合は、『遅れて刊行されている日本版』では修正されてきてもいいのじゃないかな、とは少し思ってしまう。
もっとも、あまりにチョンボな造形や、製作的にも支障や問題のあるようなパーツは、後日「修正造形されたパーツが、メーカーから購入者全員に再配布された」ケースはあるのだ。
その実例はある。
じつは、海外版「Build the Millennium Falcon」で、「6号刊」のコクピット・フレームの形状が修正されて「49号刊」で再配布された実例があるのだ。
これが「問題の再配布されたパーツ」↓。うん、ここはミレニアムファルコンの『顔』と言っていいパーツだ。もし不都合が深刻だったなら、「再配布」はメーカーとして当然の責任だったろう。
こういうこともあるから、購入者が声を上げれば山は動くこともある。クリアーパーツも「新型フレーム」に併せて再配布されたそうだ。
原型師の造形センスがいちばんの要だけれど、造形スタッフをとりまく環境も大切だ。
分冊模型として、"メタルフレーム"を組み込むアイデアはお見事だと思う。
そこは賛辞したい。
外装の船体パネル造形も、おおむね好感の持てるクォリティだ。
ただ、ダメージ痕や、市販の模型にはない「アレンジ」を加えようとするスタッフのクォリティが低い。
そこをチェックしてOKを出すか、リテイクを重ねるかが「職人魂=アーチスト」ってものだ。
エンタメ販売においては、商売人であると同時に「クリエイター」気質もなくてはならない。
「企画は素晴らしい」のだけれど、生産と販売ラインに乗せるとき、監督・監修する方に問題があるのか、生産現場の工場側の体制に問題があるのか、これも甚だ気になる。
ホビー界こそ、そろばん勘定だけでなく、「矜持」が必要なんじゃないのかなぁ。
この件に関して、ヨーロッパでのクレーム沙汰があったから、日本版の「週刊ミレニアムファルコン」では、"最初から改修された版"のキャノピーフレーム・パーツが「6号刊」では付属していた。
遅れて刊行されるのはマイナスばかりではない。最初から"修正された正しいもの"が販売される利点もある。
あんまりクレームを付けすぎて、シリーズの頓挫を招いたら元も子もないが(そのときは、メーカーは返金補償しなければならなくなるので、メーカーの真剣さも切実だとは思う。)
なんにしても、マニアの観察眼というのは侮れないなぁ、というお話ですね。
逆を言えば「公式なもの」というのを信じてぼんやりしていたら、騙されたり、ごまかされたりしたままになるかも、という可能性を示唆しているわけだね。
複雑な気分になるかな。
もしくは、これは"ファンには理解しがたい製作側の意図的な裏事情"でも存在しているのだろうか?。
つまり、数々の『公式と呼ぶには有り得ない、お粗末なアレンジがある』のが、『十分に分かっていて、わざとグレードダウンして作っている』のだとしたら・・・。
本来の「スタジオ撮影用模型」のレプリカ販売を許した権利者が、「でも、原型まんまのレプリカは駄目だよ。"本物"はひとつだけでいい。レプリカ作るときは"クォリティ・ダウン"してよね。」とかお達しがあったとか。
いや、もう「意図的にダメなアレンジしている」と勘ぐらなければ、あれだけ緻密なメタルフレームの構成や、外装パネルのトレース造形をやってのけるレプリカ製作者が、ダメージ痕だけ「投げやりにも程があるアレンジをする」のは、"他意"や"確信"があってやってるとしか思えないからだ。
安い買い物ではないのだから、「レプリカ」と言っても、どうせなら職人魂にふさわしい、後世に伝説が残るような仕事をしてくれたらいいのにね。
レプリカ製作者は、何を考えて今般の作業をしているのだろうか?。
世界中からブーイングやクレームをもらうための「仕事」なんかしたくないハズなんだけどね。
ギャラでもケチられたの?。
「愛」や「誇り」があるなら、薄給でも、本当のアーチストは「自分に誇れる仕事」はするものなんだけどね。
さて、そうしたことを踏まえて、さらに。
そう。海外版「Build the Millennium Falcon」で気になっていた所が私にはもうひとつある。
「1年先行している海外版の製作動画」で見かける、刊行折り返し地点前から見かける、このボルトはなにか?ということ。
この時点で「展示用模型」に「7脚のランディングギア」が間に合わなかったのかな?。(海外版「Build the Millennium Falcon」もまだ完結していないし。)
いやいや、昇降口ギミックを作っておいて、ランディングギアの再現はなし、という選択はおかしいでしょう。
企画・販売が成立している時点で、「完成品見本」も完成した状態で提示されるべきだろうし。(ここはむしろ、「展示に脚が間に合いませんでした。製品版にはちゃんと7脚も付属します。飛行状態、着陸状態、両方の展示の仕方が選べます。」と購入者ならメーカーに言って欲しいところだね。)
"ミレニアムファルコンは飛行体勢が最も美しい"といわれるビークルだけれど、私はタトゥイーンの砂埃っぽい宇宙港や、デス・スターに捕らわれた状態で"停泊しているミレニアムファルコン"、あるいは"惑星ホスの反乱軍基地、氷の世界に停泊しているファルコン"や"惑星ベスピンに浮遊するクラウド・シティのポートに着陸したファルコン"の佇(たたず)まいが好きなのだ。
これまでのどのミレニアムファルコン模型にも着陸脚は付属してきたのだから、撮影用レプリカには「飛行形態」での飾り方も工夫して欲しいし、同時に7脚のランディングギアでゆったり停泊しているファルコンも再現して欲しいわけだ。
完成品見本の展示は、なにかしら、不安を覚える展示の仕方だった。
(※その後の海外版ようつべ動画なんかを見ていると、「着陸脚」の"差し替えパーツ"が登場しているシーンもあるにはあったので、上に述べた"ボルトだけ展示"は杞憂であるかもしれない。・・・もっとも、そうなったらそうなったで、飛行状態の展示の「効果的な飾り台」に関して、新たな欲求が生まれるわけですが。かなり重たくなる本体を支えて尚、効果的に「飛行状態を再現できる飾り台」というのは相当にハードルが高いぞ。マスターレプリカ社の完成品より、デアゴスティーニ版はずっと重量級になるからだ。)
本番の刊行では、100号すんだところで、どうなっているのでしょう?。
船体そのものの造形や迫力は、期待値が抜群だから。
仔細なことに注目がいくのも、メーカー側は痛し痒しなところだろう。
完走まで頑張っていただきたい。
ところで、ネット巷間での報告者の噂によると、
(噂ではなく、もう検証済みな事柄なのだけど)
「週刊ミレニアムファルコン」には搭乗する乗員が、同スケールの1/43サイズ・フィギュアとして付属してくる予定は今のところ無い。
デアゴスティーニでなく、他の欧米のガレージキット・メーカーでフォローされそうな気がしていたが、じつはもっと前に、この日本独自のアイテムとして、1/43スケールに準じるぐらいの感じのスターウォーズ・フィギュアがリリースされていたことに、気がついた人が多数いらっしゃる。
私も、そういうシリーズがあったことは知っていたが、今回の「週刊ミレニアムファルコン」絡みで思い出してはいなかった。
飲料メーカーのペプシさんが、かつて「ボトルキャップ・フィギュア」としてリリースしていたアレである。
あの「スターウォーズ・シリーズ」のボトルキャップ・フィギュアが、今般の1/43スケール・ミレニアムファルコンのジオラマ・フィギュアとして、ほぼジャストサイズだということなのだ。
何年前のことか忘れたけど、だいぶ前だよね。
・・・たぶん「エピソード1~3」が劇場公開された頃に、映画公開を盛り上げるために企画されたものだったと思う。
で、今回のミレニアムファルコンに縁(ゆかり)があるのは、こちらの「クラシック・シリーズ」
(私は不案内で間違ってるかもしれないが、当時、ペプシの応募券と1500円ほどの実費とで、1箱と交換できたのじゃないかと思う。)
足元のボトルキャップから切り離して、さらにポーズ変えなども、ちょっとした工作で補正すれば、この2体、ハン・ソロとチューバッカなんか、そのまま座席に座らせることが可能なのではなかろうか?。
「ポーズ変え」とか、そういう細かい工作が不得手な人でも、せめてボトルキャップの円座だけ残して、平台にすれば、これらのフィギュアを、やがて「デアゴスティーニ・ミレニアムファルコン」が完成したときに、並べて置くか、船体内部のスタッフルームに入れるだけでも楽しめるのではないだろうか。
たまたまの偶然であるが、「ボトルキャップサイズの小さなフィギュアって、何が楽しいのだろうか?(失礼!)」とか思って、当時まったく関心を持っていなかった私でさえ、ミレニアムファルコン絡みでなら、これはちょっとワクワクしてくる関連性が発見されたものである。
今、このボトルキャップ・フィギュアが再注目されているようだ。
このサイズにして、なかなかの出来栄えらしいのである。
by PINKNUT_INC | 2016-02-28 20:23 | デアゴスティーニ