CLANNAD ~ クラナドの演出

「CLANNAD ~ クラナドの演出」というタイトルはオーバーだが。
 
気になって「感心した」ところをサラリ(?)とチェックしておきたい。
(CLANNAD ~After Story~ 第17話「夏時間」と第18話「大地の果て」のレビューに行く前に)
 
京アニのアニメ「CLANNAD」にはこういうシーンが多い。
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キャラクターが「飲み食い」している描写はホームドラマでは自然なものだ。
(一部、ギャグ・シーンにもなっているが。)
 
「人の生活が描けている」という要素には、衣食住の描写はあたりまえ。
 
ところが、実写ドラマや映画なんかに比べて、アニメや漫画では尺数の加減もあるが、「衣食住」描写は疎かになりがちというか、そういうものを全く描かない作品さえある。
 
恣意的とか作為的とか、褒め言葉で使われないこともあるが、ドラマでは「シナリオ」作りや「演出」において、『作為的』というのは重要なファクターだ。
 
稀に「なんにも考えていない」でたらめな作品も、作劇の中にはあるけれど。
(「でたらめさ」や「勢いだけ」が”売り”というベクトルもないわけではない。でも、覚悟を決めた「突き抜け」と稚拙さは別物であります。)
 
秀作ほど、視聴者を引き込むリズム感が快調だし、心地よいものである。
 
今回は「飲み物」に関しての意図的な『象徴化』。
 
ことに「CLANNAD」には飲み物ネタが印象的に使われている。
 
これは、他のブロガーさんの記事でも、これから私が紹介するシーンに触れていた記事があったので「我が意を得たり」という気持である。(私も、その視点に同意です。慧眼を持たれた方が、良いものを観て、良い理解をしてらっしゃることに頼もしささえ感じる。)
 
というのは、「CLANNAD ~After Story~」のこのシーン。第14話。
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朋也が渚との何気ない会話の中で、渚の言葉に動揺して、思わずテーブルを拳で叩き、コップの中の麦茶(?)が、あおられてこぼれるシーンがあった。
 
視聴中に感心したのは、そのあと、朋也が我に返って、こぼしたお茶をティシュを取って拭いている丁寧な描写があったことだ。
「芸が細かいなぁ」と、普通に観ていれば、一連の話の流れの中ではさりげない行為だが、大変に興味深い描写だった。(普通のテレビアニメでこんな細やかな演出はしない。)
 
でも、「CLANNAD」ではここがポイント。
 
思い返していただきたい。
「カップやコップからこぼれ落ちる液体」の描写は、これまでのエピソードの中で、とりわけ印象深いシーンで何度も繰り返し描写されている。
 
「CLANNAD」第一期の15話、春原(すのはら)君が激昂するこのシーン。
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渚が演劇部を立ち上げようと顧問の教師捜しに奔走する話で、対抗クラブとの軋轢で、「友人のハンデキャップ」を理由に、渚たちに横やりを入れた女生徒。
でも泣きながら「身を引いて」と渚に頼み込む女生徒の足元に紙パックのジュースが投げつけられる。
「その程度のハンデで同情を買おうする奴は卑怯者だ!。」
頭を下げている女生徒の白いソックスにジュースのハネが染みになって跳んでいる。

「CLANNAD」第一期の18話の智代(ともよ)の家族の描写においても、
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両親の不和で崩壊しかかっている家庭の状況、智代たちの心境を「カップからこぼれた液体」が象徴的に見せてくれる。
 
それは、「CLANNAD ~After Story~」第2話のゆきねぇのシーンでも同じ。
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このように、登場人物達の「不安な気持ち」、「怒り」、「憤り」といった感情を代弁しつつ、こぼれてしまったものが、「もう壊れてしまって、取り返しのつかない何か」を描いているのだということが、容易に分かる。(これらは全て、そのシーンにおいて「こぼれ落ちたままの状態」である。)
それは逆説的に、「ことみ」などの過去の記憶の家族団欒を描くシーンでは、「幸福なティータイム」として、家族が紅茶を囲む場面をとても穏やかに描いている。
 
さて、それが、先述した「CLANNAD ~After Story~」第14話の朋也と渚の問題のシーン。
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ここで、渚の友人から聞いたひとつの話題として「(朋也と渚が通っていた高校の)旧校舎が取り壊されて新校舎が出来る。新しい生徒さんたちには、とてもいいことです。」というセリフに、「いいわけあるか!。」と怒鳴る朋也。
 
朋也は我に返って「なんでもない」と謝るが、「なんでもないことないです。どうかしましたか、朋也さん。何か私が悪いこと言ったのなら謝りたいです。」と、話題をそらさず今起きた出来事(齟齬)に向き合う渚。
 
朋也は学生時代の自分と渚たちとの思い出がいっぱいつまった「旧校舎」が取り壊される町の変化に動揺した事を素直に語った。

「・・・そうですね。淋しいです。私の考えが足りませんでした。」と朋也をなだめる渚。
 
この話数では、何気ない夫婦のお互いの気持のズレを修正し合う、どうということのないシーンであったが、妙に恣意的に「二人の絆を確認させるシーン」として、印象的な描写がされていた。

こぼれた麦茶。

「噴き溢れたもの(壊れた何か)」を、このシリーズで初めて『拭く』(修正する)という行動を朋也がとっている描写を、ちゃんと描いていたこの回。
         
それは、このあとに来る「第16話/白い闇」から「第18話/大地の果て」まで描かれる、『家族の再生』という話に繋がっていく、第一期から伏線の張られていた大きな感動のエモーションの流れに昇華する。
           
この丁寧さと真摯な演出の連なりは・・・、凄い。
         
・・・なんか、たぶん、残りの話数にまでかかわる事柄が、既に演出スタッフ陣は語りかけてくれているような気がする。
        
では、次回は、いよいよ感動の「汐(うしお)」ちゃん登場編についてレビューします。        
                 
                                           
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Commented by cyah at 2009-02-22 22:22 x
Clannadに限らず、京アニのこのシリーズは妙にテトラパックが多い気がするのですが。(そういえば高校の頃、紙コップにジュースが出てくる自動販売機があったなぁ。高校ではその延長線上で紙コップが最近はテトラパックになったのでしょうか?)
Commented at 2009-02-22 22:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-23 05:23
cyah 様
テトラパック(Tetra Pak) という言い方は、ひとつ勉強になりました。
私は、ジュースも牛乳も含めて、全部「紙パック」と呼んでいましたから(笑)。
それに、テトラパック→(三角パック)という思い込みがありましたが、それが長方形になっても「テトラパック」という言い方をするんですね。
 
紙コップ自販機は、コーヒーなんかは私の近所にも今もありますよ。
  
私は、大昔の「冷やし飴」とかいうのをふと思い出しました。
(ちなみに「冷やし飴」ていうのが、関西~西日本独特のものだとは、最近まで私は知らなかった。・・・つまり、cyahさんには分からない飲み物でしょ?。)
 
美味しい飲み物でした、「冷やし飴」。
なんか、すっげー、飲みたくなってきた・・・。
Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-23 05:27
非表示コメント 様
それは、結構でございました。
でも、私もDVD版がやはり気になります。
・・・何はともあれ、すでに名作です。じっくりとお楽しみ下さいませ。
Commented by cyah at 2009-02-23 22:27 x
今は煉瓦型のブリックタイプを「テトラパック」と言って、三角形のは「テトラ・クラシック」と呼ばれているそうです。
「冷やし飴」に関しては、名前だけは知っていますよ。(さすがに飲んだことはありませんが。)結構マンガのネタになっているもので。(そういえば缶入りのがあるという話を聞いたことがありますね。)
Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-24 05:02
cyah 様
「冷やし飴」、意外と有名だったのですね♪。
 
それにしても 「テトラパック」と「テトラ・クラシック」って・・・(笑)。
 
「テトラ・クラシック」がとても懐かしくなってきた。
あれの「コーヒー牛乳」が大好きな私でした。
(今でもあるんだろうね、きっと。)
捜してみよう♪。 
Commented by 間地出 外吉 at 2009-02-24 12:50 x
ハチクロの最終話で、はぐ(主人公)の左頬に、怪我の傷跡が表現されているのを発見した時、少し驚きました。最近の作品は、細かな描写を省かないのですね。
Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-27 06:59
間地出 外吉 様
「ハチミツとクローバー」は、私も最初の頃は見ていました。(あの絵柄に惹かれて。)
「コロボックル・ネタ」とか(笑)。
 
なんかあの作品、途中から妙にヘビィーな展開になってきて・・・。後半とかラストとか見ていませんので語れないのですが。(ちゃんと見るべきだったかなぁ。)
 
だって世間的に「かなりの秀作」として認知されているようなので、また機会があったらチェックしてみます。m(__ __)m

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