アニメ『CLANNAD ~After Story~』第16話のレビュー

アニメ『CLANNAD ~After Story~』第16話に関しての感想・・・。 
タイトルからして予感させるものがある。

(※ちなみに、ほんの2~3週間前くらいから、地上デジタル・チューナーを装備していない録画デッキでは、意地悪く「アナログ」の文字が右肩に入るようになった。
はっきり言って、邪魔。意地悪(泣)。)

第16話「白い闇」
c0137122_5262850.jpg
ただ、赤ちゃんがまもなく誕生する用意は整っていた。
 
朋也と渚の若い夫婦、そうして生まれてくる子供、汐(うしお)の穏やかな幸せを祈る表札。
c0137122_5273656.jpg
c0137122_5274673.jpg
久しぶりに集まった友人達の中で、大きなお腹の妊婦さん渚。【左端】

しかし、Bパートに入ってからが、もう、なんという描写でしょうか。

本来は娯楽作品です。
エンターテイメントです。
ですが、緻密な描写が時に何かの枠を超えてしまうことがあります。
 
「アニメ恐るべし」・・・・・・・・。
 
ここからの描写は言葉がありません。
(また、この回の音楽~BGMの効果は凄かったです。)
 
ドラマは冬の大雪に、交通機関のマヒした地方都市において、予定より2週間早い自宅出産を(もともと病弱な渚が)余儀なくされる展開に。
c0137122_529323.jpg
c0137122_5294493.jpg
c0137122_530572.jpg
妊婦の悲鳴や、悪戯(いたずら)に出産時のリアルな描写は一切ありません。最低限度の声優さんの演技と、ほとんど間接的に、朋也のナレーションによって状況が淡々と語られるばかりです。(かえって、それが真に迫る。語られている言葉の意味するところは悲痛だから。)
c0137122_5301579.jpg
c0137122_5302584.jpg
やがて、産声。
c0137122_5303422.jpg
(画面はソフトフォーカスになって、以降、朋也と渚と、赤ちゃんだけの世界になる。)
c0137122_5304840.jpg
生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた、朋也が気の抜けたようなトーンで「渚・・・」と妻に呼びかけるシーン。
c0137122_5384454.jpg
c0137122_5385542.jpg
さらに強く渚に呼びかける。
c0137122_539596.jpg
c0137122_5391796.jpg
うつろに目を開けて、それでも確かに我が子を見る渚。
c0137122_5392891.jpg
「・・・はい、・・・可愛いです。・・・汐(しお)ちゃん・・・。」
c0137122_5393874.jpg
c0137122_5394958.jpg
一所懸命に語りかける朋也。渚に語りかけ続ける朋也。
c0137122_5395956.jpg
c0137122_543463.jpg
c0137122_5431487.jpg
だけど・・・・・・、
c0137122_5432442.jpg
渚が、逝ってしまいました。 
その表情を、・・・肌に残った汗を・・・。
なんという描写でしょうか。
力無く朋也の手からすり抜けて落ちるばかりの渚の手。
c0137122_5464037.jpg
その手の、あまりにも痛々しいか細さ・・・。
c0137122_5471339.jpg
ここから朋也の渚との思い出がフラッシュバックしていく。
c0137122_5472976.jpg
c0137122_5565754.jpg
c0137122_5571028.jpg
c0137122_5572287.jpg
c0137122_5573525.jpg
c0137122_5574845.jpg
c0137122_558041.jpg
c0137122_5581154.jpg
c0137122_5582388.jpg
c0137122_558353.jpg
c0137122_5584774.jpg
c0137122_5585959.jpg
c0137122_5591092.jpg
c0137122_5592198.jpg
c0137122_5593231.jpg
c0137122_5594529.jpg
c0137122_559595.jpg
c0137122_601153.jpg
やがて、
c0137122_602325.jpg
c0137122_603582.jpg
それは二人の出会いのシーンまで遡り、
c0137122_604755.jpg
c0137122_605822.jpg
いつもなら「つづく」となるラストのタイトルが、
c0137122_611034.jpg
本シリーズのタイトル『CLANNAD ~After Story~』ではなく、ただの「CLANNAD」となってしまって終わる・・・。
 
この後の(いつもの)明るいエンディングのKY(空気読めない)っぷりが凄い、という他の鑑賞者の感想文をウエブでみかけたが、まさにそんな感じ。
 
私はここまでの本編で号泣していたので、今回の(いつもの)エンディングには吃驚しました。

この回だけ、「本編」の深刻さを受けて、新たに作り起こすのがスケジュール的にムリでも、せめて、第一期の『だんご大家族エンディング・アニメ』にでも差し替えるべきでした。
 
・・・出産直後から、わずかな時間で逝ってしまうまでの渚の「表情」は、絵を描くものとして相当な覚悟がなくては描写しきれないシーンです。
 
それが・・・、本当に、やりきれないほどの描写力を見せつけられて・・・。
 
    
「アニメ恐るべし」です。 
 
さて、先ほどにも語った、この「アニメ恐るべし」というフレーズ。
 
「アニメ恐るべし」とは、「火垂るの墓」がジブリ作品で高畑勲監督によってアニメ化された時に、原作者の野坂昭如氏に言わしめた有名なセリフです。
 
実写映画なら、どんなに天才的な名子役を選んでも、現在の子供に戦時下の子供達の、あのやつれた表情や精神の痛みを映像として再現させることは不可能に近いはずだと野坂氏は感じていました。
ところが、「絵」は、魂を込めた「絵」では、生身の人間では演じきれなかったであろう表情や佇まいを表現することが出来たのです。
 
「火垂るの墓」は、私は原作を読んでいますが、あの独特なリズムの文体を、アニメ映画では時に恐ろしいほどのリアリティで、子供の肌の(切れば血の出るような)やわらかさや、あるいはカサカサにやせ細った骨の軽さまで感じ取らせられるような描写をやってのけていました。
 
あまりにも残酷なシーンの鑑賞者への静かな語りかけ。

「火垂るの墓」は、そんな本編の後半の描写以前に、私は冒頭のシーンで、もう泣いていました。
清太(せいた)の「ぼくは死んだ」というシーンから、ドロップ缶に入っていた妹、節子の(兄、清太自らが荼毘にふした)小さな骨がこぼれ墜ちて、そこに蛍が舞い、節子の魂がもんぺと防空ずきんを被ったままの姿で現れるシーンから、私はいきなり涙が溢れて止まりませんでした。(そのシーンのBGMになる旋律の美しさがいっそう辛かったのです。) 
                                                              
私は感動系の作品は映画館では見られません。
だって恥ずかしいもの。私の涙は絵にならないでしょうから(笑)。
洒落にならないほど泣きます。
 
それが、テレビでもドキュメンタリー番組などで泣かされるときは、「憤り」「怒り」で泣いている時があります。
 
感動というエモーションだけではなく、どうしようもない感情に震えている自分に気が付いたとき。
それが「怒り」だと気が付くことがあります。

小さな子供の「死」や「病苦」を取材した番組などでは、私に宿るのは「怒り」です。

『なぜ?』という。
 
「クラナド」のような『物語』では、それを『なぜ?』の域から、癒され、許されて、感動出来るところに視聴者を誘う責任が作り手にはあるわけです。
 
私は、先の日記(ブログ)にちらりと書いたように、私の身内や親族に、「AIR」での"病"で亡くなる女の子のように、20歳くらいで亡くなってしまった彼女を記憶しているし、「クラナド」における渚のような、病苦の中でも命がけで妊娠、出産しようとする若い母親候補の女性を、今、知っています。

そんな経験から、『Kanon』、『AIR』、『CLANNAD』で、メインのシナリオライターである麻枝准(まえだ じゅん)氏も少なからず、実体験に、こうしたドラマを(繰り返して)書かざる得ないものをお持ちではないのかなとにらんでいます。
  
そんな辛い思いを、プラスのエネルギーにしていくチカラ。 
  
クラナドの今後の展開に期待しています。
                         
[PR]

インターネット広告の「トランスメディア」提供スキンアイコン by PINKNUT_INC | 2009-02-08 06:16 | Comments(11)

Commented by sarukani at 2009-02-08 14:55 x
こうなる事は判っていたので、ああこうくるか~と、少し距離を置いて観ていましたが、命と引き換えに一つの命を産む姿に心動かされずにはいられませんね。痛々しくて・・・

原口先生は蛍の墓を取り上げてらっしゃいますが、それに近いものがあったと私も思います。
私も蛍の墓には涙したクチで、同時上映でトトロだったかな? これが流れてなければえらくヘビーな気分で帰宅した事でしょう。おかげで、「蛍の墓」を単品で鑑賞する事は、怖くて出来ません。
それだけ、どちらの作品にも生の悲しさと喜びとを表現した素晴らしいアニメだったと思うのですが、「アニメ恐るべし」は実感しますね~
餓死する心も、母の身を案じて泣く心も、どの子役に求めればいいのか。それだけに、描き手と声優さんの円熟した技量を感じずにはいられません。
Commented by sarukani at 2009-02-08 14:57 x
<続きになっちゃいました>
自分はTRPGファンとして20年以上GMをたしなんできましたが、ここ数年は「心の力」が必要なゲームをしたいと思い、ただ殺して金品を奪う様な浅薄なゲームには否定的だったりします。
正直、同じ部屋でそういうプレイがなされてる事に苦痛を覚えてしまい、数年来運営していたオープンな定例会を閉鎖してしまった程です。
若い子達に、無慈悲な遊びをしてもらいたく無い。覚えて貰いたく無い。
コンピュータゲームでゲームゲームした遊びに慣れた人に、どう感じる事や、思いやる事を感じてもらえるか、なかなかに難しいものです。

やはり体験に勝るものはありませんね。
シナリオライターの方の内面に、そういう要素が力強く息づいてると、私も思います。

一週間先に、その答えを観て参ります☆
Commented by at 2009-02-08 20:57 x
こ、これは……落ち着いたころ一気に見ようと思ってたんですが、最近めっきり緩くなった涙腺が耐えられるか不安です^^;
Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-09 05:15
sarukani 様
たくさんのコメント有り難うございます。
 
今回の『CLANNAD ~After Story~』第16話と、『火垂るの墓』とは、ドラマの背景や状況としても、比較する例えには本来、全くふさわしくはないのです。

ですが、(絵師としての)アニメーター、演出家の力によって、画面の中で「命の灯火が消えかけている」キャラクターの描写を見せつけられてしまった点において、私は素直に想起してしまったので触れました。
 
こういう形で、真っ正面から厳粛に「人の死」を描写する作品は、アニメでは案外と少ないのです。
どちらかというと、バイオレンスやアクションとかの中で嗜虐的な感じで扱われてしまうことが多いからです。(そういうものはカタルシスではあっても、深い喪失感とは隔たりがあります。)
 
ところで、TRPG(テーブルトークRPG) の話題が提示されて興味深かったです。
 
sarukani様、ユニークな活動のキャリアがおありだったのですね。
Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-09 05:16
鯨 様
あぁ、なるほど。
関西圏は、なんだか深夜枠アニメの放送が、関東圏より1週間どころか、半年間も遅い場合もあるので、放送された番組の内容は、どんなことに触れてもOKというのが基本軸なんですけれど、HDDやメディアに録りためた人には、「ネタばれ」になっていることもあるわけですね。

そういう事に関しては、どうかご容赦を(笑)。
 
アニメ『CLANNAD ~After Story~』はじっくりとご覧になってください。
完結前に、既に名作の予感が揺るぎない感じです。 
Commented by 月宮 at 2009-02-09 05:51 x
自分は原作(エロゲ)を見てません。
ほんと、今後の展開たのしみですね。
ハッピーエンドはないのでしょうか。
kanonのあゆのような・・・。
AIRのみずずのような悲しい結末もそれはそれで泣ける話ですが
ちょっとは救われたいです。
純粋にそう思います。
渚に過剰に依存していたトモヤ君はさておき^^;
御両親を救ってあげたいです。っておもいますが・・・

ま、とにかくたのしみですね^^

Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-09 08:16
月宮 様
いらっしゃいませ。
ひとつだけ誤解を解いておくと、原作ゲーム「CLANNAD」は、私も未プレイですが、全年齢対象で「18禁」とかではないようです。
(「智代アフター」という、「CLANNAD」のスピンオフ・ゲームがあって、こちらは「18禁」になっています。・・・どうやら、同じ「アフター」というタイトルから混同されるようですが。)
 
さて、私もプラスな気持になれる結末を期待しています。
名作ではあっても「火垂るの墓」は、繰り返し見たいわけではないですから。(辛すぎて・・・。)
 
アニメ「AIR」は繰り返し見て、やはり泣きます。
こちらは、アニメ版スタッフの解釈と描写に、「勇気」も貰えるからです。
 
アニメ「kanon」は、さらに肯定的です。
いいですね。
 
アニメ『CLANNAD ~After Story~』は、原作があっても、ラストは一本道ではないらしいし、その解釈の仕方や演出で、どんなメッセージを受け取る事が出来るのか・・・。
 
期待しています。
Commented by w_tam at 2009-02-11 10:33
はじめまして* たむと申します。
CLANNAD~After Sory~はまだ9話までしか見てないのですが、こんな悲しい展開になるんですね...(つω;`)
早く続きを見ないと!と思いました。

CLANNADでは何度も泣かされていますが、16話では今までにない号泣をしてしまいそうです><

私的には、ハッピーエンドいいなあ...
これからが楽しみです^^♪
Commented by nimirom at 2009-02-11 14:37 x
>原口さま
はじめまして。&コメントありがとうございました<(_ _)>
みゃうちゃんに
心を奪われてから、、ちょくちょく
お邪魔してました。。。
ブログに書かれておられる
感想も、、
ああ、そんなところまで感じて
観ているんだなっ
と、感動をおぼえながら
読ませて頂いております^^;

クラナド。
わたしも何度も目頭が熱くなって・・・ToT
うぅwwいいアニメです。

これからも宜しくお願いします。
では。

Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-11 21:56
w_tam 様
いらっしゃいませ。
「CLANNAD~After Sory~」は、じっくりご覧くださいませ。
私も楽しみに見ています。(ていうか、今の展開はメッチャ辛いんですけど・・・。)
 
京アニの制作スタッフは、本当に素晴らしいと思います。
(別に私、信者とかというのではありません(笑)。・・・京アニ作品でも食指の動かなかったタイトルのものもありますし・・・。)
 
でも、「ハルヒ」と「Key」作品はDVD買いましたよ。
「クラナド」も買おうかな、やっぱり。
Commented by PINKNUT_INC at 2009-02-11 21:58
nimirom 様
いつもブログに(けっこう早いテンポで次々とハイクォリティな作品が)紹介されている、nimiromさんのイラストは、私、ファンです。
けっこう大きいサイズでUPしてくださっているので、画像保存させていただいています。
(フルサイズのイラスト欲しいな・・・、壁紙にしたいくらい・・・♪。)
 
また、お邪魔しにいきますね。
 
「クラナド」は、今後の終盤に向けての展開が楽しみだったり、せつないような複雑な気分・・・。
その辺の感想は、また書きたいと思います。
 
ていうか、ホントはアニメ・レビューやっているより、nimiromさんのようにオリジナルをどんどん紹介していく方が、クリエイターとしては正しい!。
 
でも「感想文」も、自分のものを作るときの道標になって、あながち無為な作業では決してない、と思っています。
 
今後ともよろしく!。

<< アニメ「CLANNAD 」と「... アニメ『CLANNAD ~Af... >>