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アニメ「たまゆら」を楽しんだ♪


今回、ご紹介するのはアニメ「たまゆら」である。 

「たまゆら」は、
佐藤順一(さとう じゅんいち)氏が、原作、監督、脚本、演出をしたアニメシリーズであります。
 
大変に素晴らしい作品だ。

シリーズの完成に2010年から2016年までを要した。
 
たまゆら (2010年)
たまゆら〜hitotose〜 (2011年)
たまゆら〜もあぐれっしぶ〜 (2013年)
たまゆら〜卒業写真〜(2015年)←(4部作で、4部目の公開が2016年4月になった。)
 
以上の構成である。

たまゆら (2010年)。シリーズの最初の作品は、現時点からもう7年前になるわけだ。
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ヒロイン、高校1年生の沢渡 楓(さわたり ふう)。小柄であどけない顔だち。父の形見である「フィルムカメラ」での写真撮影を自然な日課にしている。
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彼女の父親は5年前に他界している。(病死とか事故死とかという、具体的な死因についての設定はない。)
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フィルムカメラを趣味として愛した人で、その影響を娘も引き継ぐことになる。
父親の友人だった写真店の息子が(今は自身が経営者となっている)写真店のショーウィンドーに、小学生時代のヒロインが撮影した「父親の姿(逆光写真なのだが)」が飾られている。
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OVA(オリジナルビデオアニメ)4話だった。(ディスクとして、1~2話と、3~4話の2つに分けられてリリースされた。)

アニメとしての企画が純然たるもので、漫画原作とか、小説とかがあるわけではない、秀逸な"青春もの"だ。
ストーリー的には男女の恋愛要素も特にはない。
 
バトルもなければ、SF要素とも無縁。
 
女子高生たちの友情と、彼女を取り巻く大人たちとの機微が展開の主軸だ。
(まぁ、ヒロインの弟が「男の娘(おとこのこ)」な容姿なのがユニークだが、そっちの盛り上がりが申し訳程度に添えられるから、男女絡みがあると言えばそれくらいか。あ、ヒロインの学校の男性教師の恋愛顛末ごともあった(笑)。)
 
しかも、舞台が広島県の竹原市という具体的な設定で、実在のロケーションが丹念に作品世界に織り込まれている。
生活空間、空気感のリアリティが心こまやかなのだ。

「絵的」にも竹原市の街並みや瀬戸内海や小島の描写などが緻密で素晴らしい。
 
人気も支持も得た。
(こういうジャンルの作品が好きな人で未見な人は是非見るべきだし、日常作品に食指の動かないアクションマニアにも触れてほしい逸品だ。)

OVAのリリース後、評価も得たので、
その後、テレビシリーズアニメとして12話構成が2シーズン行われる。

まず、たまゆら〜hitotose〜 (2011年)
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監督、原作の佐藤順一氏のクレジット。(私などは、「とんがり帽子のメモル」(1984年)のスタッフの一員だった頃からお名前は知っているし、「魔法使いTai!」監督(1996年)などは大ファンである。)
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フィルムカメラ、ローライ (Rollei)「35S」。ヒロイン楓(ふう)の愛用機。
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フィルムカメラは、私はザックリと国産のコニカ、フジフィルム、ミノルタとかしか知らないし、海外製は使ったこともないので「Rollei」が分からないのだけれど、「フィルム現像」して「印画紙」で被写体を見るという行為は、デジカメ以前は普通のことだった。
 
舞台設定的には、楓(ふう)の父親も「デジカメ世代」になっていてなんら不思議はないのだが、彼女の父親が(その昔)高校生時代に仲間と写真部をやっていたという設定なので、フィルムカメラの愛好家を貫いていたようだ。
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さらにはヒロイン楓(ふう)の実家が「和風で古風なカフェテリア」だというのがニッチである。
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このロケーションは(良い意味で)渋い。(こういう街並みはまだまだあるけれど、どんどん少なくなっているのも事実だ。)
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下の画像に、楓(ふう)の母親(左端)と祖母(中央)が写っている。女子高生3人は楓(ふう)の親友であり、このドラマのメインキャストだ。制服の親友たちは左から、塙 かおる(はなわ かおる)、岡崎 のりえ(おかざき のりえ)、桜田 麻音(さくらだ まおん)右端となる。
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店は広島在住の父方の母(祖母)のものであり、ヒロインたち家族は本来「神奈川県横須賀市」在住だった。ただ、父親とはよく竹原市に家族込みで帰郷していたみたいで、ヒロインの心の中で父との面影を繋ぐ場所でもあった。(幼少期に竹原市で、のちに親友となる上の画像の彼女たちと遭遇して、仲良くなっているエピソードまで本編にはある。)「思い出のありすぎる」この地への移住を父の死後に強く望んだのはヒロインだった。
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で、娘の気持ちに快く応じた母が、家族ごと横須賀市から竹原市に移転したのだ。祖母も家族を快く受け入れ、店は母と祖母で経営されていた。
「料理屋」ではないので(カフェテリアなので)、本編には「焼き菓子」などのスイーツ系がよく登場していた。
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あと、広島が舞台と言えば「お好み焼き」である。
「ほぼろ」という店が、主役たちの行きつけの店として紹介されていた。
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この「ほぼろ店主」が、八色 ちも(やくさ ちも)↓と言う女性であり、声優を松来未祐(まつき みゆ)さんが演じている。準レギュラー出演だった。
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画面からしておいしそうだ。
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声優、松来未祐さんが、今となってはこのシリーズの完結する直前に早逝されてしまったので、シリーズ最終4部作目には出演されていないが役名と声優名がクレジットされている。スタッフからの手向けであったようだ。それまでは、劇中にて「陽(よう)」のキャラで活写されているので、キャラ性やお声も、本作と共に生き続けることだろう。絵的にも私の大好きなキャラクターだ。
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下の画像は本シリーズとは関係のない蛇足だが、松来未祐さんが演じたキャラで、私がすぐに連想するのは「這いよれ! ニャル子さん」のクー子↓役であったなぁ。返す返すも松来未祐さんの早逝は残念だった。
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そうした声優キャラの設定において、準キャラに印象的な配役がされていたのが、楓(ふう)の親友の一人、黒髪ロン毛少女の磨音(まおん)の両親の役だ。
瀬戸内の小島で旅館を経営している麻音の父と母
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これが父「古川登志夫」、母「平野文の御両人である。言わずと知れた「うる星やつら~ダーリンとラムの声」である。思えば「うる星」のアニメからザックリ30年たっているんだよねぇ。
本作では愛娘への愛情炸裂な仲の良い夫婦役だった。(演技的にも声の当て方は渋かった。~軽妙なシーンも多かったけど(笑)。)
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ストーリー展開での佳境としては、「たけはら憧憬の路(しょうけいのみち)」の描写である。数枚、画像を並べておこう。
毎年
10月末ないし11月最初の土曜・日曜にかけて開催されるとのこと。(開催期日は年によって微妙に前後するみたい。)
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本編的にも尺を取っているシーンであったし、エピソード的にも本シリーズのメインイベントだったかと。
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この「祭り」の存在を割と雑学も不足している私は本作品で初めて知った。
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本作品のもう少しあとのシリーズの描写の中で、とある大人キャラたち(クールに構えているタイプと、柔和なタイプ)がこう会話している。
キャラA「あんなに灯しても、数時間後には消してしまうのにな。」
キャラB「だから、きれいなんだよ。」

これって、人生そのものや生き方の真理かもしれない・・・。
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謹賀新年エピソードの記念写真。(向かって左端に見切れているのは、ヒロインたちの学校の教師である。・・・状況としては脚立カメラの自動シャッターにした撮影者が間に合わなかっという感じかな(笑)。~ちなみに男性教師が"ほぼろ店主"の隣に並ぼうとしているのは、ストーリー的な伏線でもある。)
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たまゆら〜もあぐれっしぶ〜 (2013年)
前作TVシリーズから、2年後の全12話
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タイトル画面の下はこうなっている。楓(ふう)の弟「香(こう)」誕生の時のもの。
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楓たちヒロインは高校二年生になって、楓(ふう)は「写真部」を高校に創設する。(同校には無かったのだ。)ここに同校三年生の三谷 かなえ(みたに かなえ)↓が登場。ストーリー的には若干の遠回りをしつつ、写真部に入部する。そして、学年下の楓(ふう)を「部長」として立てる。言葉遣いも丁寧なしおらしいキャラだ。
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まぁ、かなえの入部後はヒロインチームとも意気投合する。(襟リボンの色の違いが学年の違い。)
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竹原市にある「おかかえ地蔵」の描写も劇中にはあったな。1650年に創建されたお地蔵さまで、願い事をしながら地蔵を抱きかかえ、軽く感じると願いが叶うと言われています。(・・・ここは、おかかえするだけで願望成就して欲しい(汗)。軽く感じるか、重く感じるかなんて主観的すぎて・・・。自分でも判断が難しい(汗)。)
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そして、たまゆら〜卒業写真〜(2015年~2016年)4部作構成である。OVAであるが、1部ずつ劇場公開もされた。
下の画像は第4部のもの。
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「第1部 芽 -きざし-」。「第2部 響 -ひびき-」。「第3部 憧 -あこがれ-」。「第4部 朝 -あした-」という構成であった。ヒロイン楓(ふう)たちは高校三年生。それぞれの「進路」をどうするのかというドラマだった。
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そうして、卒業式。楓(ふう)は「写真」関連の学びが出来る大学へ、しかも郷土を出て東京で暮らす選択をする。(ちゃんと第一志望に合格した。)東京には、何度も楓(ふう)たちの郷里(竹原市)にも足を運んでくれた憧れのプロカメラマン、志保美 りほ(しほみ りほ)がいるからだ。志保美さんは今、東京で写真ギャラリーの経営管理をしている。
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この時、卒業式講堂への窓からの木漏れ日に「たまゆら」を見る。楓(ふう)にだけ見えている。
「たまゆら」というのは写真撮影で生じる「ひかりのゆらぎ」であり、普通、肉眼では見えない。オーブ現象とも呼ばれ、小さな水滴の様な光球である。肉眼では見えず写真でのみ確認される。
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本作のタイトルである、その「ゆらぎ」の中に、楓(ふう)は父親の面影を見ていた。笑いかけてくれているはずだ。
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大学の入学式。(スーツ姿だけで、顔があどけなくても、なんか、一気に大人だなぁ。)
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一方、地元では楓(ふう)の元担任教師と「ほぼろ店主」もえさんが結婚しちゃって夫婦になっているという・・・。
(ダンナ、教師のまま、奥さんも「お好み焼き屋」経営継続の共稼ぎなんだろうね。)左でカメラを構えているのは、楓(ふう)が写真部創設した時から顧問になっている新任女性教師です。
じつは、本欄では紹介しきれなかった、個性的なキャラのまことに多いシリーズでした。(どのキャラも、その生活感や人生の波や悩み、歓びのあることが丁寧に~時に匂わせるだけのような描写であっても~、ちゃんと補足出来ている作品でした。)
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楓(ふう)も東京の「写真学科のある大学」で勉強と言っても、住まいを受け入れてくれたのが、憧れている写真家、志保美 りほ(しほみ りほ)のギャラリーに、個室まであてがわれての暮らし。とても良い環境での大学生活スタート中です。
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日々の大学に出かける時の、楓(ふう)が「いってきます」の言葉をおくるのが、家族・友人たちの写真と、父の分身とも言える、
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「Rollei 35S」だ。
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ラストの上の写真はクリックしてもらって拡大で見てもらえると意義深い。ふるさとの広島に居る家族、友人たちの「いま」の写真が応援として送られて来ているのが見える。ヒロイン楓(ふう)が写ってない。彼女が郷里を出て以降の地元の皆の様子だと分かるからだ。

若かりしときに、家族に欠けがあっても、こういう受け入れ方、生き方をしている「人」は強いだろうね。
 
作品紹介的には、(細かなエピソードはさておき)全編について語ってしまいましたが、私の好きなアニメ作家さんが、素敵な作品を作り続けていることに感動します。
そうして、
ここまで紹介しても、この作品の素晴らしさは(未見の方は)全編ちゃんと見ていただければと思います。
エンタメで、アクションやカタルシスとか刺激的なものを求めるのも、当然一興なわけですが、「癒し」「微笑み」「爽やかな涙」を得るのも大切なことです。
 
実在の竹原市にも興味を抱かせる名作ですが、町や風景、実在のものは変わっていきます。
人も変わっていくのだから。
 
でも、その時その時に感じたこと、体験したことがすべて失われてしまうわけではありません。
 
(よくない記憶を引きずるのはどうかとは思えますが)、いいことはより大切に、消えずに残るものです。 
世に「良作」と評価される"アニメ作品"もそんな感じですかね。
"たまゆら"って、エンターテイメントのオーラを指しているのかもしれない。

それと、
本作のオープニングテーマやエンディングテーマ、はたまた、1話~数話分の挿入歌として、下記の有名なヒット曲が(基本的にオリジナル歌手のままではなく、歌い手は替えて)使われていました。
 
豪華な顔ぶれです。
 
使われ方は、それぞれのシーズンによってエントリーが変えられていました。
 
★「やさしさに包まれたなら」
    作詞・作曲 - 荒井由実

★「おかえりなさい」
    作曲 - 松任谷由実

★「A HAPPY NEW YEAR」
    作詞・作曲 - 松任谷由実

★「はじまりの海」
    作詞・作曲 - 大貫妙子

★「ありがとう」
    作詞・作曲 - 尾崎亜美

★「最後の春休み」
    作詞・作曲 - 松任谷由実

★「神様のいたずら ~うたとぴあの~」
    作詞・作曲 - 大江千里

★「卒業写真」
    作詞・作曲 - 荒井由実
 
以上、私の気が付いたものだけでもこれほど豪華。
(記載漏れがあるかもしれません。)
使用許可をもらうのもご苦労や手間があったでしょうね。
 
でも、この「たまゆら」という作品になら、使われたシンガー、ライター達も納得し、むしろ喜んで下さったことでしょう。
 
こうした楽曲が、この作品世界にとてもマッチしていて素敵でした。
このことも書き添えておきます。
 
 

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